チェックリストを利用したファイナンシャルプランニングの考え方
本日は複雑な条件がついている制度を利用するための、チェックリストを活用するスキルについて解説していきたいと思います。
複雑な適用条件
お金に関する制度や商品の適用条件についての文言は複雑です。 例えば住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン減税)を検討しようとするとき、その適用要件はこのようになります。 (国税庁より) とても複雑で、頭に入ってきませんね。
しかし家を建てる時には、建築計画、資金計画の策定や将来の年間収支の検討をしなくてはならず、その一要素である住宅ローン減税の適用要件を理解することは重要なことです。
わからないから業者任せでいいや、というのは考え方の一つかもしれません。しかしそれは結果的に、その計画が納得のいかないものであったとしても、納得できない状況について自ら責任を持たなければならないというリスクを負うことになります。
納得して意思決定するためには理解しなければならないのです。 加えてファイナンシャルプランニングにおいては正確さが重要なので、複雑な適用条件だとしても漏れがないように理解しないといけません。 その点では分かりやすくするために内容が省略されすぎた解説ページも考えものです。
チェックリスト
慣れていないために頭に入ってこない適用条件を、漏れがないように、理解し活用することは大変なことです。住宅ローン減税を適用するのはおそらく一生に一度でしょうから慣れていないのは当然のことでしょう。
特に給与所得者においては、住宅ローン減税に限らず、各種の公的な制度を一つの制度について何度も利用することはあまりありません。 そこで、慣れない適用条件を理解し活用するための方法、いわば文章の読み方のスキルが必要になってくるのです。
前置きが長くなりましたがそれがチェックリストなのです。 住宅ローン減税の適用要件をチェックリスト形式に置き換えるとこのようになります。 「つまり」のところが○になるか×になるかひとつずつ確認していけば適用要件を満たすかどうかを確認することができるのです。 もし仮に「この特別控除を受ける年分の自分の合計所得金額が、3千万円以下であるか。」の項目が×になってしまいそうならば、所得の調節ができないかといった対策を考えることができるようになるのです。
毎回チェックリストを作らなければいけない?
チェックリスト化とは考え方の話であり、実際にチェックリストを作る必要はありません。 要は複雑な文章を区切って、一つずつ確かめましょうという話です。
チェックリストの考え方をしようと思えば、文章に斜線をいれて、そのひとかたまりずつについて○か×かをチェックしていけばよいのです。
ワークシートへの応用
「つまりどういうことなのか」ということを考えて書式を変えることで分かりやすくするというスキルはワークシートの活用にも応用できます。
例えば相続税額の算出。「財産から債務を引いた正味の遺産額から基礎控除をマイナスし、それを法定相続分で按分し、計算式に当てはめることで各相続人の仮の相続税額を算出します。それを合計し、相続税の総額を算出したところで、実際の相続分で税額を按分する。」といわれてもよくわからないですよね。 (国税庁より)
そのような時に、図のようなシートで、自分の場合の金額が記入できるようになったものを使えば簡単に、相続税額を算出することができるのです。これを計算シートやワークシートと呼んだりします。 このような計算シートは書店で入手することができます。 例えばこのような本です。
それって当たり前では?
言われてみれば、当たり前のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、案外「書式を変えることで分かりやすくする」という考え方が身についていないために、複雑な文章に悪戦苦闘するという状況は起こりがちです。考え方を身につけることで、考えることができるようになるということに留意してみてください。