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福岡市 FP教室講師のブログ

FP社労士がファイナンシャルプランニングの学習を勧めたり、労務についてコメントするブログbyTWO-FACE社労士FP事務所(福岡市)-記事冒頭にプロフィールリンク

マイナビ転職『退職を伝える前にも準備がある 転職成功マルわかりガイド』の記事を社労士が論評してみます。

この記事を説明する画像

 

「退職」の上位表示サイトを労使双方の立場に立ってクリティカルシンキングで論評してみます。

【サイトの概要】

有料職業紹介事業者である株式会社マイナビの求人情報サイト「マイナビ転職」内の転職ノウハウについての正社員向けの記事。step6「円満退職する」の第1ページ目。

 

【有料職業紹介事業者とは】

サイトを運営するマイナビは有料職業紹介事業者です。有料職業紹介事業者とは職業安定法によって規定される、対価を得て職業紹介事業を行う事業者です。ハロワの有料版ですね。

有料とはいっても求職者からの手数料の徴収は禁止されているため、求人を出す事業者の側から求人広告の掲載料やマッチングの成功報酬等によって収入を得ています。

【サイト記事の構成】

「辞め方」は転職の成功・失敗を左右する

「辞める覚悟」を再確認する

「現職場へ迷惑を掛けない」ためにベストを尽くす

 転職活動「全体の流れ」をスケジュールに組む

 退職プランニング 求職準備~退職時期の設定

 退職意思の表示

 退職日の設定と退職願の提出

 残務整理・引継ぎ

 退職当日・退職後

 20代、30代、40代、各年代ごとのポイント

【転職者目線でのコメント→この記事は転職のスムーズさを重視するあまりに、転職者が本来持つ「牙」を抜いているのかもしれません。】

業界大手のマイナビの記事ですから書いていることに間違いはなく、良質な情報であるとは思います。しかし一方で、転職者の目線で記事を読むと、マイナビのビジネスモデルが前記のものであることによって、掲載している情報に偏りがあるのではないかという印象も受けます。

その印象とは、転職のスムーズさにこだわるあまりに、転職者は企業に歯向かってはいけないし歯向かう手段はないような書き方をしている、というものです。もちろんそのように明記はしていません。しかし歯向かわないパターンの情報の充実さに比べて、歯向かうパターンの情報があまりにも少ないことで私はそのような印象を受けました。

例えていうならば子供向けアニメのアンパンマンやしまじろうの世界に、裁判所の存在があるようには思えないといったものです。存在しないとは言っていないとしても、その存在を想像することができないのです。

私も円満退職に越したことはないし、そのためにはいきなり歯向かうそぶりを見せる必要はないし、マナーとしていきなり見せてはいけないということには同意します。しかし、ここで円満退職とは何かを考えた時に、会社側を怒らせないことだけが円満だというわけではないということです。

会社側の都合もある一方で、退職者側の都合もあるわけです。そうであるならば、退職は交渉事であり、一方ではニコニコしながら、もう一方ではバチバチやることで双方の都合の落としどころを見つけて、その結果調和が保たれるという考え方もあるはずです。

退職者も会社もマイナビも、スムーズな退職を目指すのは当然です。私も同意します。しかしスムーズな退職とは退職者側が自分の都合を一方的にひっこめることなのかと言えば必ずしもそうではないと思います。

転職者がこのサイトを見るにあたっては、そのような批判的な見方があっても良いのではないでしょうか。下記【記事内容へのツッコみ】ではそのような視点を持って批判的に見ていきます。

【経営者目線でのコメント→この記事は転職のスムーズさを重視し、退職者が本来持つ「牙」を忘れさせてくれています。】

業界大手のマイナビの記事ですから、書いていることに間違いはなく、良質な情報だとは思います。しかし一方で、経営者の目線で退職者の行動パターンを探るという見方で記事を読むと、マイナビのビジネスモデルが前記のものであることによって、掲載している情報に偏りがあるのではないかという印象も受けます。

その印象とは、転職のスムーズさにこだわりすぎて、労働者は企業に歯向かってはいけないし歯向かう手段はないような書き方をしている、というものです。もちろんそのように明記はしていません。しかし歯向かわないパターンの情報の充実さに比べて、歯向かうパターンの情報があまりにも少ないことで私はそのような印象を受けました。経営者がこのサイトを見て退職者の行動パターンを探る上では、退職者の腹に一物ある場合の想定ができないことに留意しなければなりません。

退職者が腹に一物ある場合どのように考えるかを【記事内容へのツッコみ】でコメントしていきます。

【記事内容へのツッコみ】 

転職は「退職」と「求職」のコンビネーション。在職中の転職活動では退職がスムーズに進まないと転職先の入社に支障が出ます。退職後の転職活動でも、辞め際のふるまいで悪い評判が立ってはせっかく築いた人脈を失ってしまうことも。転職を確実に決めるためにも円満退職を心掛けましょう。

もっともな内容ですが、悪いとはなんでしょうか、良いとはなんでしょうか。記事では全体を通して、退職に際して自己の都合を主張し会社と交渉することが悪いことであると暗に決めつけている印象があります。

悪評が良くないのは当然ですが、悪評が立たない交渉の仕方があることを忘れてはいけません。

(一方、そのような考え方に対し経営者としては、何が良くて何が悪いのか従業員に日ごろから伝えていくことが対策となります。)

円満退職のためには在職中の業務を最優先することが鉄則。退職の意向を伝えてから退職日を迎えるまでには複数の行程があり、調整が生じます。給料をもらっている間はその会社の一員です。会社への負担を最小限に抑えることを第一に、マナーをわきまえた対応で最後まで社会人としての誠意を見せましょう。

退職に際し、会社への負担を最小限に抑えることは当然に大切です。しかし、なぜそのことを第一にしなければならないのでしょうか。会社に都合があるのと同じように、退職者にも都合があります。マナーを弁え誠意を見せるのも当然大切ですが、双方の都合を考慮して落としどころを探れることも自立した社会人の要件です。

また給料の対価は労働時間内での労働力の提供です。給料をもらっているからといって退職予定の会社を人生の最優先事項におかなければならない理由にはならない、という反論が可能です。

(一方、そのような考え方に対し経営者としてはやはり、従業員に社会人として、また組織の一員として何を期待しているのかを日ごろから伝えていくことが対抗策になりえます。)

就業規則や慣例など社内ルールに沿って、職場への負担が最小限で済む早めのタイミングで伝えるのが好ましい。

これは就業規則を作る社労士だからこそ言えるのですが、悪徳社労士の手法として法律的に無効なルールを、無効なことを承知の上で就業規則に記載していることがあります。その条文や就業規則自体が有効なものか疑う目線も必要です。

(また、そのような考え方に対し経営者としては、疑いの目を向けられず、向けられたとしてもそれに耐えうる就業規則を整備することが必要になります。)

最後に

以上批判的にコメントしましたが、このサイトは「退職」の検索結果の上位に表示されており、また大手企業が掲載しているサイトだけあって基本的には良質なものです。

 一度切り出した退職は初志貫徹が基本。退職の意思を示すと会社が慰留交渉をしてくる可能性があります。引き留めに応じたとしても、退職を試みた事実が社内の立場を変えてしまうこともあります。退職を伝える前に、仕事観やキャリアプランを見つめ直し、「退職の覚悟」を再確認しましょう。

といった部分などはまさに同意するところです。

しかし非の打ちどころのないサイトに見えても、いろいろな立場や考え方があることに留意して読むと労使双方で新たな発見があるかもしれません。

 

(福岡 東京)TWO FACE社労士FP事務所 社会保険労務士 蓑田隆介

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TWO FACE社労士FP事務所 社会保険労務士 蓑田隆介