福岡市 FP教室講師のブログ

FP社労士がファイナンシャルプランニングの学習を勧めたり、労務についてコメントするブログbyTWO-FACE社労士FP事務所(福岡市)-記事冒頭にプロフィールリンク

「円満退職アドバイス下さい」の質問に対して社労士が回答・コメントしてみます。

円満退社のコツの四コマ漫画

qa.itmedia.co.jp

【概要】

女、パート。会社側の引き留め等により円満退職できないことに悩み質問。

 

【質問】

現在パートしています。
退職を申し出たのですが、上司(女)が受理しません。
というか、「受理出来ない。休職したらいい。日にちを減らせば」など
引き止めます。

実は退職申し出は今回で2度目になります。
1度目も同じように言いくるめられて、
出勤日数を減らして勤めています。
しかし、度重なる同僚のミス、上司に相談しても一向に解決しない、
むしろ私の言い方が悪いとまで言われる始末です。
相談時はとても親身になってくれるのですが、
実際は二枚舌で私を利用しているだけなのが分かりました。
詳しくは書けませんが、とにかく私は退職したい。

でも本心を言えば相手も気分が悪いだろうし、
残る勤務でイヤミを言われるのも嫌なのです。
出来れば上辺だけでも円満退職という形をとりたいです。
なので理由は家庭の事情とだけ言いました。

申し出は一ヶ月半前にしました。
よくある、いきなり辞めますとかじゃなく、
むしろ私の善意で
1ヶ月よりも更に前に申し出た形です。
それを受理出来ないとかありえません。
怒りすら湧きました。

私は特に重要なポストについてません。
現在半月も出勤しないようなシフトになってるので
私が辞めて大変困る!!って状況には思えません。

しかも家庭の事情を詳しく話して下さいと言われてます。
これは話す必要性ありますか?
私は話す気はありません。そんな義務ないですから。
そもそもこの上司を人間的に信用出来ないから辞めるのであって。

そこでアドバイスが欲しいのですが、
この家庭の事情を話す気は無いという事を角が立たないような言い方はあるか?
上司が受理しないのなら本社宛に退職届を送付すると言ったら激怒されるか?
1度はとどまったので今回はもう留まる気は無いと言う事を
上手に伝える言い方は?
です。

私は感情的になりやすいので、いつも言い方で後悔します。
上手く冷静に、相手に言いくるめられないようにしたいです。

月末に直接話し合いの場を設けると言われて
この件は保留にされています。

よろしくお願いします。

【回答】

質問①について

 家庭の事情を詳しく話して下さいと言われてます。
これは話す必要性ありますか?

私は話す気はありません。そんな義務ないですから。
そもそもこの上司を人間的に信用出来ないから辞めるのであって。

ありません。しかし会社はそれでは納得しないでしょうね。会社が質問することは禁じられておりません。

ご存知の通り質問者さんにそんな義務はありません。ただの反語表現であることを承知の上でこの部分に回答します。

会社がその部分を聞き出そうとするのはそれが質問者さんの本心でないことに気づいているからです。会社にとってはその理由では納得しないことについて、正当性の余地があり、質問者さんも内心それをわかっているからこそ怒りの感情や法律上の建前論でごまかそうとしているのではないでしょうか。

会社は企業秩序定立権という権利を有しており、必要であれば従業員のウソに対し合理的な範囲内での調査さえも認められています。

本質問に関しては、会社が質問者さんの言う家庭の事情についてツッこんで聞くのは業務上の調査というよりも信義則上の問題です。事実質問者さんの家庭の事情という理由は本心でないとのことですので、信義則の話においても会社の質問は正当なものであると考えられます。

質問②について

この家庭の事情を話す気は無いという事を角が立たないような言い方はあるか?

ありません。下手なウソだけど快く騙されてね、と言うようなものだからです。

端的に解説します。

ウソをつくのはやめましょう。

必要なウソならば上手につきましょう。

ウソをついたのならば結果について責任をとりましょう。

質問③について

 上司が受理しないのなら本社宛に退職届を送付すると言ったら激怒されるか?

怒るかどうかはその上司次第です。しかし質問者さんはその怒りを向けられることはありません。

怒るかどうかは当然その人の性格やその人との関係によります。

しかし激怒したとしてもその怒りを怒号や嫌がらせのような形で質問者さんが向けられることはありません。

その仕組みを説明します。

労働基準法は下記の通り強制労働を禁止しています。

 (強制労働の禁止)

第五条  使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

ここで言う精神又は身体の自由を不当に拘束する手段とは下記の通りに解されています。

 「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」とは精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。長期労働契約、賠償額予定契約、強制貯蓄等も含まれる。(昭和23年基発381号)

退職の手続きを怒号や嫌がらせによって妨げることは、労働基準法で禁止されている強制労働に該当し、憲法上の権利さえ侵害することになるのです。

強制労働が禁止されていることや、強制労働は「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」という労働基準法上最も重い処罰が規定されている重罪であることを相手がわかっていれば、たとえ激怒したとしても、失うものがある限り、怒号や嫌がらせをしてくることはないのです。もしわかっていなければ火に油であることに留意しつつ教えてあげるとよいでしょう。

しかし多少は、不当なものであってもイヤミなどを言われることはあるかもしれません。それを避けるためには契約を確認し、退職のルールを学び、スケジュールを調整することが必要です。

また、一定の有期労働契約であれば現在は労働基準法上、契約期間の初日から1年を経過すれば、労働者の方からの退職の申し出はやむを得ない事情がなくともいつでもすることができ、退職することができることになっていますので、イヤミを言うようであれば退職を早めることを伝え、牽制することも大変有効な手となるでしょう。しかしこの方法は人間関係の緊張が極度に張り詰め、一触即発の空気になることを覚悟しなければなりません。

この方法は相手にも相当の緊張を与えることになるため、その重圧に折れて「だったらもういい、すぐにやめてくれ」という話になるかもしれません。不当なイヤミを言っておきながら、まるで自分がクビになったような形は癪ですね。「だから辞めたいと言ってるのは私です。あなたが懇願するものではありません。」と言い返しましょう。また「すぐに」というのにも気を付けなければなりません。売り言葉に買い言葉のこのやりとりによって、辞める時期が早くなりすぎて不利になってしまうことがないように気を付けましょう。

質問④について

1度はとどまったので今回はもう留まる気は無いと言う事を
上手に伝える言い方は?

質問者さんがウソをついている限り、相手は納得しません。

言い方ではなく、誠実さの問題です。

ウソをつくのはやめましょう。

必要なウソならば上手につきましょう。

やむを得ずウソをついたのならば結果について責任をとりましょう。

【最後に私の目線でのコメント】

問題から逃げて回るから事態がこじれるのでは。自分自身に誠実に。

質問者さんの状況は質問者さんが問題の本質から逃げていることによって起きているように思えます。

 度重なる同僚のミス、上司に相談しても一向に解決しない、

という部分が退職の理由であるのならばそれを言えばよいのです。本心を言わない理由として、

 でも本心を言えば相手も気分が悪いだろうし、
残る勤務でイヤミを言われるのも嫌なのです。

と述べていますが、退職は少なからず職場に負担をかけるものです。

強制労働は許されませんが、上手にウソもつかず、退職のルールも学ばず、スケジュール調整もしないままに、自分だけが良い子でいて、嫌な思いをしないで退職しようとするからうまくいかないのです。

退職時に堂々とふるまうためには、退職に関する情報・知識や相手に対する誠実さというものに加えて、退職したいという気持ちや退職理由について自分自身にウソをつかないという自分自身に対する誠実さが必要なのではないでしょうか。

 

(福岡市)TWO FACE社労士FP事務所 社会保険労務士 蓑田隆介

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TWO FACE社労士FP事務所 社会保険労務士 蓑田隆介