福岡市 FP教室講師のブログ

FP社労士がファイナンシャルプランニングの学習を勧めたり、労務についてコメントするブログbyTWO-FACE社労士FP事務所(福岡市)-記事冒頭にプロフィールリンク

「富士通を退職した話」のはてな匿名ダイアリーに社労士がコメントしてみます

anond.hatelabo.jp

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ダイアリーから読み取った情報

【概要(想像含む)】

20代半ば、院卒、情報学修士富士通正社員。新入社員研修後、キャリアパスのミスマッチにより退職し、転職。自分の貴重な若い時間を無駄にした、と憤りダイアリーを投稿。

 

【入社時の職種と希望していた業務】

自分は開発職として入社したはず
(蓑田補記:システムの開発・保守を行う関連会社への出向であっても)せめて担当業務はオープンプラットフォームにしてほしいとか、COBOLは嫌だとか、ついでに可能であれば山奥の工場に押し込まれるのも勘弁してほしい

【実際に命じられた配属先・担当業務】

山奥の工場でメインフレームを主とするシステムの開発・保守を行う関連会社への出向
自分の担当業務はほかでもない、あの20万人月案件だった(蓑田補記:みずほ銀行基幹システム統合作業)
業務を行うツールはもちろんMicrosoft Excel。 自分の仕事は言われたとおりにExcelシートに入力し、マクロを実行して成果物となるファイルを吐き出すことだった。

【退職手続き上の不満】

短い期間ではあるけども世話になった上司と、開発職の社員をSI業務に割り当てざるを得ない状況については自分も一定の理解を示しているつもりだったので、 多少なりとも会社への影響を軽減できればと思い、転職するつもりである旨を早い段階で上司に明かした。結果としてこれが大きな間違いだった。
転職の旨を伝えた週の金曜日、自席に上司から電話があり、「働く気がないならすぐに辞めてもらう」といった調子で一方的に退職日を設定された。 流石にこれは法的にも問題がある行為だと思い、すぐに折り返し電話をかけて抗議し、翌週時間をとって直接話すことになった。 翌週直接話してみると、上司はケロッとした顔で「なんだ、働く気がないわけじゃないんだ、勘違いしてた。じゃあ退職日はいつにする?」なんて聞いてきた。 自分が抗議しなかったらどうするつもりだったんだろう。

私の目線でのダイアリーに対するコメント

IT技術者のキャリアパスにおける会社と社員の対立関係

ミスマッチの問題はどの業界でも起きえますが、IT技術者にとっては顕著です。

日進月歩で技術革新があり、知識技能が専門・細分化しているIT業界の技術者は自身のキャリアや身に着ける知識技能によって人生が大きく左右されるため、キャリアパスの入口で職種や担当業務について強いこだわりを持つのは当然のことです。

時代遅れの知識技能しか身に着けられなかった場合に、将来職を失うことになる、ということが容易に想像できる業界だからです。

採用活動においても、会社と求職者の双方がそのことを念頭に置いてマッチングを行っていますが、特に新卒採用においては、求職者の無知・未熟さや、会社の人材争奪戦上の戦略、労働者に対する会社の驕りなどによりミスマッチが生まれます。

本ダイアリーの出来事もそういった採用活動上のミスマッチが表出したものだと推測します。

会社は、雇用の流動化を念頭に置いて行動を

ミスマッチを防ぐために慎重なマッチングをといったことや、労使協定、労働協約就業規則雇用契約書に注意をといったことは、当然やっているし、あるいはやっていても、どうしようもなく起きてしまうのがミスマッチの問題です。

IT業界は雇用契約に向かず、請負関係に親和性があるという特徴があります。

新卒の労働者でさえこのことに気が付いており、それに基づいて行動することができることを、会社側は常に念頭に置いて考え行動する必要があります。

教育をしてもらったことへの感謝が足りないのでは

一方ダイアリーを読んで感じたことは、投稿者に採用や教育をしてもらったことに対する感謝が足りないのではないか、というものです。

投稿者の憤りは、会社をあまり信用せず頼らない労働観に基づいており、そうであるならば極端に言えば就職せずに起業するなどビジネスライクに行くべきであって、会社が長期雇用を期待して受けさせている充実した新入社員研修を退職後であっても当然のことと捉えている節などは、都合のよいときにだけ会社のアットホーム感を利用している印象を受けます。

隙のある理屈ではありますが、教育してくれたことにもっと感謝することで、自身の憤りを鎮めることができるのではないでしょうか。

退職手続き上の不満について

「一方的に退職日を設定された」として「法的にも問題がある行為だと思い、すぐに折り返し電話をかけて抗議し」と強い調子で不満を述べていいますが、退職を伝えた時点では希望する退職のスケジュールを伝えておらず、これを法的に問題がある行為というのは不当な主張だと思われます。

労働者が退職を希望したとして労働者の退職の希望日を無視し、退職日を会社が一方的に決めることは許されませんが、労働者が退職を希望しているものの希望日がないのならば、会社が退職日を早めに設定することはむしろ労働者の意を汲んでいるものと考えられます。

もちろん本件の場合は、実は退職の希望日があったけれども聞かれなかったから言わなかったというものですが、会社には退職の希望日を聞く義務はありません。自身の行動のうしろめたさから言い出せなかったものと推測されますが、言わなかったのは自身の責任であり、それを会社が一方的に退職日を決めたと憤るのは不当であると考えます。

退職の交渉は会社と労働者が真の意味で対等な関係で臨むことになります。自立した社会人であるためにはルールを学び、礼節を弁え、スジを通すことが大切です。

 

(福岡市)TWO FACE社労士FP事務所 社会保険労務士 蓑田隆介

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